車の相続と名義変更(第三者へ譲渡する場合)

その他

本来、このブログで書くべきは、船舶の相続手続きについてでしょうか。
しかし、たまたま車の相続問題にかかわることとなり、ネット上の情報が不十分だと感じたので、それについて書くことにしました。

相続手続

親族が亡くなると避けられないのが相続問題です。
誰が何を相続するかということも大事ですが、相続財産の名義変更手続きも簡単ではありません。

もちろん、行政書士などの専門家に手続きを依頼すれば、手続きの詳細について知る必用などありません。

しかし、年式が古く、売却する価値もないような車を知人に譲る場合などは、個人で手続きをすることになるでしょう。
そのような場合は、地域を管轄している運輸局の支局へ問い合わせをすれば、必用な書類などを教えてもらえます。
ただ、事前にある程度の情報を把握しておきたいものです。

ネットの情報

車の相続にかかわる名義変更手続きについては、ネット上に多くの情報が掲載されています。

自動車の所管官庁である運輸局、自動車の保険会社、自動車に関する情報掲載サイトなど、いろいろなところが作成しているホームページで、相続手続きについて確認することが可能です。
基本的には、その情報を頼りに手続きをすれば問題ありません。

ただし、レアなケースとして、所有者が死亡した車を第三者に譲渡する場合の手続きでは注意が必要です。
ネットの情報と運輸局の支局へ問い合わせた際の回答が異なっていました。

他のサイトの情報が誤っているとまでは言い切りません。
しかし、四国運輸局ホームページを始めとして、確認できたネットの情報は、明らかに説明不足で誤解を生じる内容でした。

所有者が死亡した車を第三者へ譲渡する

所有者が死亡した車を、相続人ではない第三者へ譲渡する場合の手続きです。

手続の流れ

当然ながら、相続譲渡の二つの手続きが必要となります。

  1. 車を相続人が相続する
  2. 相続した人がその車を第三者へ譲渡する

ただし、この二つの手続きは同時に申請することができます。
地域を管轄する運輸局の支局に申請します。

必用な書類

特定の相続人が車を相続して、相続と譲渡の手続きを同時に申請する場合の必用書類です。

「遺産分割協議書」、「譲渡証明書」、「委任状」は、運輸局のホームページに書式が掲載されています。

相続人が用意するもの

  • 自動車検査証
  • 戸籍謄本等
    被相続人の死亡および相続人全員が確認できるもの
    (死亡した所有者(被相続人)の出生から死亡までの全戸籍)
  • 遺産分割協議書
    通常は相続財産を全て(車以外の不動産、預金等を含めて)掲載して作成しますが、財産ごとに作成することも認められています。
    車の手続きに際しては、運輸局作成の書式があり、複数いる法定相続人のうち誰が車を相続するかを記載した書類になります。
遺産分割協議書(記入例)
  • 車を相続した人の譲渡証明書
    車を相続した者が、誰に譲渡するかを記載した書類です。
譲渡証明書(記入例)
  • 車を相続した人の印鑑証明書
  • 車庫証明書(車を相続した人が死亡した所有者と同居の場合は不要)
  • 車を相続した人の実印(本人が手続きに行ける場合)または、実印を押印した委任状
委任状(記入例)

新所有者(譲り受ける第三者)が用意するもの

  • 印鑑証明書
  • 実印(本人が手続きに行ける場合)または、実印を押印した委任状
  • 車庫証明書

問題点

他のサイトで確認した情報の問題点は、まるで相続手続きを省略して譲渡できるかのように説明されていたことです。

相続と譲渡の手続きは同時に可能で、その際に重複する書類を2部用意する必用はありません。
しかし、相続手続きを省略して、死亡した所有者の車を直接第三者に譲渡することはできません。

運輸支局の担当者が間違った説明をした可能性も考慮して、別の運輸支局へも問い合わせをしてみました。
すると、同様に相続手続後に譲渡手続になるとの回答だったので、恐らく間違いないと思います。

ちなみに、運輸支局のヘルプデスクへ電話すると、むちゃくちゃに長い音声案内を聞かされることになります。

まとめ

ネットの情報は、信用しすぎると痛い目にあいます。

ただ今回は、四国運輸局やJAFなどのそれなりにまともな発信源の情報だったので、騙されてしまいました。
まあ、必用な書類についての記載はほぼあっているので、間違ってはいないのかもしれませんが、全く説明が足りません。

そして所有者が死亡した際の車の名義変更手続きは、細かい条件によって内容が変わってきます。
最終的には、管轄の運輸支局へ確認して手続きを進めてください。

なお、車を相続する場合は所有者が亡くならないと手続きができませんが、所有者が生前から売却、譲渡、廃車などを予定している場合は、なるべく所有者が存命中に手続きすることをお薦めします。
相続がからんでくると、一気に手続きが複雑になります。

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