バスボートのライブウェル

バスボート

レンジャーZ185のライブウェルについて紹介します。

ライブウェルとは

日本語で言う生け簀、釣った魚を生きたまま保管するための設備です。

バスフィッシングの大会では、バスを生きたまま持ち帰って検量することがお約束になっています。
そのためにバスボートには必ずライブウェルが備わっています。

一言で言うと、「大きな水槽」のような物です。

位置と形状

バスボートのライブウェルは、私の知る限りメーカーを問わず後部デッキに設置されています。

中央の2つがライブウェル

レンジャーZ185のライブウェルは、真ん中に取り外し可能な仕切があります。
二分割することで、二人で乗船しているときは魚を別々にキープできます。
また、キッカーサイズと入れ替えサイズのバスを分けて入れる、などといった運用も可能です。

ライブウェルのふたを開けたところ

ただし、分割している状態では、50㎝くらいのバスを入れるのが限界でしょうか。
それを超えるサイズになると、かなり窮屈になって、キープしたバスが弱ってしまいそうです。
そのため、通常は仕切を外して一つの大きなライブウェルとして使っています。

スイッチ

メインスイッチはコンソールパネルの下部に設置されています。
写真の赤丸で囲んだところがスイッチです。

ライブウェルスイッチ

スイッチは二つあります。
左側、魚の絵が描いてあるのがメインスイッチで、ライブウェルポンプのオンとオフを切り替えます。
右側、砂時計の絵が描いてあるのがタイマースイッチで、メインスイッチがオンのときにこれを押すと、ポンプが「3分稼働して2分休止する」状態を繰り返します。
タイマーを使用することで、バッテリーを節約できます。

スイッチ拡大

機能の切替スイッチはコンソールの右側面に設置されています。

ライブウェルスイッチ
切替スイッチ

こちらも二つスイッチがあります。
右下のスイッチは基本的な機能の切替です。
左上のスイッチはポンプアウトのオンとオフを切り替えます。
ポンプアウトは新艇購入時のオプションで追加しました。

注水口

機能の切替スイッチのポジションに関わらず、メインスイッチをオンにすると注水口から水が出てきます。

注水口は2カ所です。
右側の白い注水口から水が勢い良く出ているのが分かります。
左側も泡立っていますが、こちらにも注水口があります。

写真赤丸部分の奥上側に注水ノズルが隠れています。

もう1つの注水口位置

奥にある注水ノズルを映した写真です。

ライブウェル奥の注水ノズル

左側の黒く突き出しているのが注水ノズル。
右側の黒い物体は、オーバーフロー用の排水口です。

満水状態

満水状態になると、オーバーフロー用排水口から水が流れ出て、これより上には水が溜まりません。

排水口

ライブウェルの底には排水口があります。

排水口

排水口はなぜが2つあって、ゴミを吸い込まないように金網の蓋がついています。
想像ですが、1つは排水口でもう1つは水を循環させるための吸水口ではないでしょうか。

基本機能

基本機能は3つあります。

切替スイッチ
  • RECIRC(recirculate)
    ライブウェルに取り込んだ水をポンプで循環する
    (一度取り込んだ水が新しい水と入れ替わることはない)
  • EMPTY
    ライブウェルに取り込んだ水を排水する
  • AUTO
    ボートの外側から水を取り込みつつ、ライブウェル内の水を循環する
    (ライブウェルの中は常に新しい水と入れ替わる)

ライブウェルの使用中は、スイッチをEMPTYにすることはありません。
EMPTYはポンプで排水するのではなく、ライブウェルの底にある排水口から重力で水が流れ出る仕組みで、ライブウェルが穴の開いたバケツ状態になります。
EMPTYでライブウェルのメインスイッチを入れると、水を取り込んだ先からそのまま流れ出て、全くライブウェルに水が溜まりません。

通常は、AUTOにしてライブウェルを使用します。

注水口からの水の出方はRECIRCとAUTOは全く同じです。
RECIRCはライブウェル内の水を循環させるため、溜まった水の量が増えません。
AUTOは外から水を取り込んで、満水になるとオーバーフロー排出口から水が排出されます。

普段、ライブウェルを使用していないときは、スイッチがどの位置でもあまり違いはありません。
EMPTYは当然ですが、RECIRCやAUTOでも、ライブウェル底の排水口から水が中に入ってきます。
水の流出を止める弁に逆流防止の作用は無く、ライブウェルが空の状態だと外からの水の圧力で中に水が浸入します。
ボート外側とツーカーの状態で、湖上に浮いていると喫水の位置まではライブウェルに水が溜まります。
ただ、ボートを上架したときにRCIRCやAUTOだと溜まった水を排水しないため、スイッチはEMPTYが正解なのでしょう。

ポンプアウト

魚を生きたままキープするという目的のためには、ポンプアウト機能は不要です。

ポンプアウトスイッチ
  • RECIRC
    ポンプアウト機能をオフにする
  • PUMP OUT
    ポンプアウト機能をオンにする

ポンプアウト機能をオンにすると、ライブウェル内の水をポンプでくみ上げて、ボート後部にある排水穴から水を排出します。
ライブウェルの使用中は、ポンプアウトスイッチはRECIRCにします。

大会でマリーナに帰着後、検量に使うウェイインバッグへ水を入れるときに、ポンプアウト機能が活躍します。
ライブウェルからウェイインバッグへ直接水を入れるのは、結構たいへんな作業になります。
ライブウェルの入り口は狭く、中にはキープしている魚もいて、ウェイインバッグを出し入れするのは簡単ではありません。

ポンプアウトスイッチをPUMP OUTにすると、ボートのトランサム右側上部にある排水穴から、ライブウェル内の水が排出されます。
ここから出る水をウェイインバッグに入れることで、ウェイイン作業がとても楽になります。

ポンプアウトによる排水

ちなみにトランサムの排水穴は2つあって、向かって右がビルジポンプ、左がポンプアウトの排水穴になっています。

トランサムの排水穴

故障が分からない!?

私はこのポンプアウト機能について、不具合が分からなかったことがあります。
ポンプアウトスイッチがRECIRCであっても、トランサムの排水穴から水が出ていることがありました。

ライブウェルは大会でしか使わないため使用頻度が少なく、前の状況をあまり記憶していません。
そういう仕様なのだと思い込み、しばらくは故障だと気が付きませんでした。

あるタイミングでボートディーラーにライブウェルの使い方を改めて聞く機会がありました。
その中で私が「スイッチがこの状態でもここから水が出ますよね」と話しをすると、ディーラーが「それは故障かもしれません」と言ったのです。
その後調べてもらったら、やはり故障だったので修理してもらいました。
あの時聞いていなかったら、今でも分からずに使っていたことでしょう。

終わりに

ボートメーカーによっては、二つのライブウェルが完全に独立していて、それぞれにポンプが設置されている物もあるようです。
その場合は、大きな一つのライブウェルとしては使用できないので、どういうメリットがあるのかは良く分かりません。
ただライブウェルとしての基本的な機能は、どのボートでも共通していると思います。

機能としては単純なのですが、初めて使う人にとっては、どのスイッチがどのように働くかは謎です。
大会以外でライブウェルを使うこともないので、私は長いこと良く分からずに使っていました。
正解を知らないと、故障していることにも気が付きません。
これを読んだあなたは、もうライブウェルの使い方に迷わないことでしょう。

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