バスボートの配線ケーブルについて

バスボート

バッテリーとボートの電装機器を接続する配線ケーブルのお話です。

原則

配線ケーブルの原則は、なるべく太く、なるべく短くです。

電線はとても良く電気を通しますが、電気抵抗は0ではありません。
ケーブルが細くて長いほど電気抵抗が増えて電流が損失するので、配線をするときは、なるべく太くて短いケーブルを使用しましょう。

ただし、太いほど曲がりにくくなり、取り回しが不便になります。
また、長さに余裕がないと、バッテリーの場所を入れ替えたときなどに、応用が効かなくなります。

その辺を考慮して、太さと長さを決めましょう。

余談ですが、電気抵抗が0になる現象を超電導と呼びます。

規格

600V絶縁電線とうたわれている製品なら、バスボートの配線に問題はないと思います。

太さ

太いほど流すことのできる電流(A)が多くなります。
少なくとも、接続する機器の最大電流(複数の機器を接続する場合はそれぞれの合計)を超えた、許容電流のケーブルを選びましょう。

SQ(スケア)

日本の規格です。
芯線(絶縁被膜を除いた銅線)の断面積(㎟)を数値で表記します。

14sqなら、芯線の断面積14㎟の電線です。
絶縁被膜を含めると、当然ながらもっと太くなります。

バスボートの配線に使用するなら、8sq、14sq、22sqあたりでしょうか。

AWG

アメリカの規格です。
なぜか数字が小さいほど電線の芯線が太くなります。

バスボートの配線に使用するなら、8AWG、6AWG、4AWGあたりでしょうか。

比較

SQとAWGの対応表と、その許容電流です。
断面積は厳密には一致しません。
許容電流はあくまでも参考です。

SQ81422
AWG864
許容電流(A)6188115

素線数

ケーブルの芯線は、通常は細い銅線が何本か束になって構成されています。
その銅線のことを素線と呼びます。

ケーブル断面図

同じ断面積のケーブルでも、素線の太さと本数が異なる製品が存在します。
素線が細くて本数が多いケーブル、素線が太くて本数が少ないケーブルです。
素線が太くて本数が少ないケーブルほど、硬くて曲げにくくなります。

14sqで素線数7のケーブルを購入したら、曲げたいように曲がらず大変な思いをしました。

ケーブルの取り回し易さを考えると、なるべく素線数の多いケーブルがお薦めです。

+用のケーブルは赤、-用のケーブルは黒です。
基本的なことですが、接続ミスを防ぐためにも必ず守りましょう。

+に接続するケーブルを黒い-用ケーブルで代用するなどの措置は、緊急避難的な場合を除いて避けてください。

バッテリーを直列とするために、+端子と-端子をブリッジする場合は、ケーブルの色と異なる接続をする端子根元に、赤や黒のビニールテープを巻いて目印とします。
黒いケーブルを使用するなら、+端子を接続する方の端に赤いビニールテープを巻き付けます。

端子

ケーブルの両端に使用する端子は丸形圧着端子です。

丸型圧着端子

規格は次のように表記されます。

丸型圧着端子の規格

この端子は、ケーブルの太さが14sq、接続先の端子直径が8㎜の用途ということです。
丸型圧着端子の穴の直径は8㎜より少し大きくなります。

ボイジャーなどマリンバッテリーの端子直径は8㎜なので、通常は直径8㎜用の端子を使用します。
接続機器によっては、端子のサイズが異なる場合もあります。

ケーブル自作

バッテリーケーブルとして、丸型圧着端子付きのケーブルが市販されています。
+-のセットになっていて、長さや太さもいろいろと選べます。

すぐに使用できてお手軽ですが、価格が割高です。

何本もケーブルが必要な場合、適当な長さのものが見つからない場合、ケーブルの両端で異なるサイズの端子が必要な場合などは、ケーブルを自作するのもありです。

ケーブルは1m単位で長さを指定して購入できます。
丸型圧着端子は4個セットのものが販売されています。
そして、ケーブルと端子を接続するための専用工具が必要になります。

IWISS圧着工具 IWS-16

工具の値段はピンキリですが、2,000円くらいの製品で問題ありませんでした。

作業自体はいたって簡単です。
ケーブルの被膜をむくのに少し手間がかかるくらいでしょうか。

被膜をむいたケーブルを丸型圧着端子に挿し込んで、専用工具で締め付けるだけです。

ケーブルの接続順

バッテリーとケーブルを接続するときの順番です。
+と-、どちらから繋ぐべきでしょうか。

車の場合は、ボディーアースといってバッテリーのマイナスがボディーに繋がっています。
そして車載機器のマイナスケーブルもボディーに繋げます。
常にボディーがマイナスで通電しており、工具などによる万一のショートを避けるために、接続や外すときの順番が大事になります。

  • 接続は+から
  • 外すときは-から

です。

実はバスボートの場合、どちらでも問題ありません
ボディーアースしてませんから。

ただし、車で迷わないためにも、バスボートでも同じ習慣としておくことは役に立つと思います。

まとめ

普段はバスボートの配線などほとんど気にしないことでしょう。

気にする必用が生じても、ディーラーやマリーナのメカニックにお願いすれば解決します。
世の中、お金で解決できないことはほとんど無いのです。

不安があるならプロに任せましょう。
やった結果は自己責任なので。

自分でやるかは別にして、基本的なことを理解しておくことは重要だと思います。
そして、自分でやってみることで、よりバスボートへの理解が深まります。

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