シームテープを貼り替える

ウェアー、小物、他

防寒用で着ているハードシェルに使用されているシームテープが剥がれてきたので、貼り替えてみました。

シームテープとは

レインウェアやハードシェルなどの防水性が求められるウェアは、防水性のある素材を使用して製造することで、防水機能を担保しています。
一方で、生地の繋ぎ目・縫い目が無いウェアを作ることは不可能です。
そのため、防水性のある生地で作られたウェアでも、生地の繋ぎ目・縫い目からは、そのままでは水が浸入してきます。

ウェア全体の防水性を確保するため、一般的には生地の繋ぎ目・縫い目の上に、防水性のあるテープを貼ることで、そこからの浸水を防ぎます。
その生地の繋ぎ目・縫い目に貼る、防水性のあるテープがシームテープです。

シームテープ

シームテープは熱で溶ける接着剤でウェアに貼り付けてあります。
アップリケをイメージしてください。

ウェアの劣化

レインウェアやハードシェルには、防水性能とともに、発汗する汗を逃がすための透湿機能も求めらます。
そして、ウェアの素材がもつ透湿機能を十分に発揮するためには、汚れを落としてきれいな状態に保つことが重要です。

そのために、防水透湿機能があるウェアは、なるべく頻繁に洗濯する必用があります。

ゴアテックスに代表される防水透湿素材は、洗濯等で簡単に機能が損なわれることはありません。
しかし、ウェアを着用すること、そして洗濯を繰り返すことで、間違いなくそのウェアは劣化して行きます。

そして、ほぼ間違いなく最初に現れるウェアの劣化は、シームテープの剥離です。

シームテープの剥離

シームテープは接着剤によってウェアに貼り付けてあるため、経年劣化によって剥がれてきます。

剥がれたシームテープ

そしてシームテープが剥がれると、露出した繋ぎ目や縫い目から雨が浸水します。

シームテープが剥がれてしまうとウェアの寿命なのでしょうか。

デザインに飽きたから、お金が余っているから等の理由でウェアを買い替えるのもありでしょう。
ただし、生地そのものはまだまだ十分に防水透湿性能を保っています。

シームテープの補修

そのウェア、買い替えるのをちょっと待ってください。
シームテープは貼り替えることができます。

SDGs(持続可能な開発目標)などと偉そうなことを言うつもりはありませんが、まだまだ直せば使えます。

業者に依頼して修理する

しっかりしたメーカーのウェアであれば、メーカーに依頼すれば修理してもらえると思います。
服のリフォーム屋さんなどでも、相談すればやってもらえるかもしれません。

自分で修理する

シームテープは簡単に購入できます。
そしてアイロンを持っていれば、簡単に自分で修理できます。
今回は自分でシームテープを貼り替えてみました。

シームテープを買う

まずはシームテープを買いましょう。
ネットで検索すれば、いろいろな種類のシームテープを購入可能です。

ウェアに使用するなら幅は2㎝が適当でしょうか。
長さは30mもあれば十分です。
色や質感は好みで決めればいいと思います。

今回購入したのは、YNAKというメーカーのトリコットシームテープで、20㎜×30m、色はマットグレーです。
価格は2,300円程でした。

3レイヤーのウェアに適しているという製品で、厚みがあってしっかりしています。

アイロンを用意する

アイロンに特別な機能は必用ありません。
洋服のしわを伸ばすアイロンならどんなものでも使えます。

アイロン

なお、アイロン台がなくても心配ありません。
段ボールとバスタオルを、平らな床やテーブルの上にひけば、即席のアイロン台が完成です。

簡易アイロン台

劣化したシームテープを剥がす

修理の前に、ウェアを洗濯してきれいにしましょう。

古くなって剥がれてきたシームテープを丁寧に剥がします。
まだ剥がれていない部分も近いうちに剥がれてくるので、繋がっているテープを一気に剥がしてしまいましょう。

剥がれた部分だけをツギハギで修理するのではなく、シームテープを丸ごと交換します。

新しいシームテープを貼り付ける

適当な長さに切ったシームテープを、縫い目の上に乗せます。

アイロンの温度は低温に設定します。
シームテープの上からハンカチなどの布を当てて、端から順番にアイロンで温めます。
当て布はキッチンペーパーでも代用できます。

アイロンは数十秒程度、上から押さえつけるようにします。
上手くいけば、シームテープの接着剤が熱で溶けて、ウェアに貼り付きます。
つきが悪いときは、アイロンの温度を少し上げてみましょう。

アイロンの温度と押さえる時間は、接着具合を見て調整します。
YNAKのトリコットシームテープは、やや温度を高くしないとくっ付きませんでした。

まとめ

シームテープの貼り替えで一番難しいのが、アイロンの温度設定とアイロンをかける時間でしょうか。
使用するアイロンとシームテープによって変わるので、ここだけは自分で調整して見つけるしかありません。
特に、シームテープが重なる部分はつきが悪くなるので、長めにアイロンをかける必要があります。

アイロンがけの特別な技術は必用ありません。
ただし、トップスに関しては生地の継ぎ目が多いため、全てのテープを貼り替えるには結構な手間が掛かります。

また、全てのシームテープが同時に剥がれてくる訳ではありません。
一度に全部貼り替えるのではなく、剥がれてきたテープから順番に貼り替えていく作業となります。

手間と時間のかかる作業ですが、ゴアテックス製のウェアであれば、買い替えると一着数万円の出費です。
財布と環境にやさしいシームテープの貼り替えをして、なるべく長くウェアを使い続けましょう。

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