(その1)で現状のバッテリー構成では、ライブスコープの使用に耐えられないことをお話しました。
今回は、ライブスコープ用のバッテリーについて、具体的に比較検討します。
ボイジャーM31MF×2
鉛の大容量バッテリー、ACデルコのボイジャーバッテリーM31MFを2台使用する場合です。
容量は1台115Ah、2台合計で230Ah。
現状の80Ah×2台、計160Ahと比べると1.4倍強の容量で、新品で性能が劣化していなければ一日十分持つと思われます。
利点
- オンボードチャージャーが利用できる
一度バッテリーを設置すれば充電のための取り外しは不要です。
マリーナで充電できるため、ランニングコストとしての電気代が掛かりません。 - 導入コストが安い
バッテリー1台で15,000円程、2台購入しても30,000円程度です。
バッテリーのライフサイクルが短いため、バッテリー買替を含めた総合的なコストは、必ずしも安いとはいえません。 - 防水性が高い
湿気の多いバスボートのストレージに入れっぱなしで何の問題もありません。
欠点
- ライフサイクルが短い
一般的に充電回数400回程度と言われています。 - 性能が劣化する
新品バッテリーの性能をバッテリーの寿命(充電回数400回)まで維持することはできません。
容量の低下を考えると、満足に使えるのは200回程度かもしれません。
(こればっかりは、実際に使用してみないと分かりません) - 使用中に電圧が下がる
鉛バッテリーは使用中、充電残量が減るに従って電圧が下がります。
実容量がカタログ値の7割といわれるゆえんです。 - 重い
26.5㎏、同程度の容量があるリチウムイオンバッテリーの2倍以上の重さです。
ただし、充電のために持ち運ぶ必要はありません。
リチウムイオンバッテリー
一方、リチウムイオンバッテリーを使用する場合はどうでしょうか。
利点
- 高電圧のバッテリーを選択できる
魚探は電圧12Vで作動しますが、許容電圧の上限は20V程度となっています。
そして、許容電圧内であれば電圧が高い方が魚探の動作は安定します。
リチウムイオンバッテリーには、魚探用として開発された電圧15V前後のバッテリーがあります。 - 容量の最後まで電圧を維持できる
リチウムイオンバッテリーは使用中にほとんど電圧が低下しないため、容量ギリギリまでバッテリーを使用できます。
ただし、容量が無くなると、その瞬間に電流が落ちます。 - 大容量のバッテリーが存在する
15Vで100Ahや、12Vで150Ahなどの、鉛バッテリーよりも容量の大きなバッテリーがあります。
容量の大きなバッテリーであれば、それだけ魚探を長時間稼働させられます。 - ライフサイクルが長い
一般的に充電回数2,000回程度と言われています。
ただし、放電深度(バッテリー容量に対する放電量)が深いとライフサイクルは短くなります。
ライフサイクルを長く保つためには、使用電力量に対して余裕を持った容量のバッテリーを選ぶことが必要です。 - 軽い
同程度の容量がある鉛バッテリーの半分以下の重量です。
欠点
- 導入コストが高い
格安中華バッテリーを除外すると、バッテリーと専用チャージャーのセットで20万円前後の費用が掛かります。
バッテリー買替を含めた総合的なコストは、バッテリーのライフサイクル次第です。 - 家で充電する必要がある
オンボードチャージャーを用意しているメーカーもありますが、基本的にはボートから取り外して家で充電となります。
バッテリーの取り外しという手間が掛かり、充電に要する電気代がランニングコストとして必用です。 - 防水性能に不安
防水性能を高めた製品も出始めていますが、防水性能に不安が残る物があります。
候補モデル
バスボート用と唄っているリチウムイオンバッテリー、主要3メーカーの候補となるモデルを挙げておきます。
リチビー
12V、100Ahまたは150Ah
電圧12Vで容量が100または150Ahのモデルです。
200Ahのモデルもありますが、さすがに現在の私の魚探構成からするとオーバースペックと考えられます。
使用インプレッションを見る限り、100Ahでも丸一日の使用には耐えられそうです。
ただし、放電深度を考えると、100Ahではバッテリーのライフサイクルに不安が残ります。
防水仕様ではありません。
エヴォルテック
エヴォテックSE₋151000
電圧15Vで容量100Ahのモデルです。
魚探用に開発されたバッテリーで、電圧が高めに設定されています。
メーカーHP上で公開されているものやネットの直営ショップでは、防水ケース仕様となっていませんが、メーカーに直接依頼すれば追加費用を負担することで防水ケースに変更が可能です。
(私がメーカーへ問い合わせて確認した情報です)
なお、メーカー名はエヴォルテックですが、バッテリーの名称はなぜかエヴォテックです。
EV-CUBE
14.8V₋100Ah
電圧14.8Vで容量100Ahのモデルです。
こちらも魚探用に開発されたバッテリーです。
防水性の高いケースが採用されていて、電源のオン・オフスイッチやバッテリー残量計が付属しています。
ハンドルが付いているので、持ち運びが楽そうです。
どっちがいいのか
ボイジャーM31MF(鉛)とリチウムイオンバッテリー、ライブスコープ用として結局どっちがいいのでしょうか。
不確定要素としては
- 使用電力量
- 鉛バッテリーの劣化スピード
- バッテリーのライフサイクル
などがあります。
項目別の比較をすると、以下のような表になるでしょうか。
客観的に見て少しでも有利な方に〇を付けています。
バッテリーの種類 | 電圧 | 容量 | 耐久 | 管理 | 重量 | 防水 | 導入 コスト | 稼働 コスト | 総合 コスト |
ボイジャーM31MF | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ||||
リチウムイオン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー |
リチウムイオンの耐久性は、バッテリー容量と使用電力量によってかなり変動があると考えられます。
稼働コストには、バッテリー買替費用は含めていません。
導入、稼働、買替を合算したものが総合コストです。
ボイジャー、リチウムイオン共に実用上のライフサイクルが不明のため、買替コストが算定できず総合コストは判定不能です。
総合コストによる比較ができないため、どっちもどっちとしか言えません。
容量的に不足しないのであれば、取り外し不要という管理の容易さを考えると、ボイジャーバッテリーM31MFを2台というのもありだと思います。
<(その3)へ続く>
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