ライブスコープ振動子の故障は避けられないのか!?

バスボート

リアルタイムで水中の状況が把握可能なガーミンのライブスコープは、今やバスボートになくてはならない装備になりつつあります。
ライブスコープの最大の欠点はその導入コストですが、それ以外にも大きな問題があります。
振動子が故障しやすいのです。

ジャイロセンサーによる映像の安定化

ライブスコープの振動子にはジャイロセンサーと呼ばれる、振動子の位置、傾き、方向等を把握するためのセンサーが組み込まれています。
このセンサーを利用して、ボートが揺れて振動子が動いてもライブスコープ映像のボトムやストラクチャーが動かないような機能が付加されています。
カメラでいうところの手ぶれ防止機構と同じような仕組みです。

この機能は、魚探画面上では現在「自動安定化」と表示されます。
魚探の操作マニュアルでは「AHRS(姿勢方位基準装置)」と記載されていますが、ソフトウェアのバージョンアップによっていつの頃からか「自動安定化」と画面の表示が変更されました。
MENU魚探設定インストール の順に魚探のメニューを展開していくとこの項目に辿り着き、機能のオンかオフを選択できます。
あたりまえですが、通常は常時オンで使用します。

ジャイロセンサーが壊れる

このジャイロセンサー、恐らく振動に弱いと思われます。
荒れた湖面をバスボートで走り回っていると、波からの反動でボートが叩きつけられることが少なくありません。
そして、トローリングモーターのシャフトやローテーターに固定したライブスコープの振動子は、常に過酷な振動にさらされます。
その結果、バウの振動子に内蔵されたジャイロセンサーが壊れるようです。
他方、コンソール魚探用としてトランサムにしっかりと固定したライブスコープ振動子は、壊れにくいとも聞きます。

ジャイロセンサーが壊れるとどうなるでしょう。
壊れた瞬間は、魚探画面でボトムがグルングルンと回転し始めます。
それが安定すると、あり得ない角度でボトムの表示が固定されます。
これは振動子の傾きや角度が正常に把握できなくなった結果です。

ジャイロセンサーが故障した画面

そして、振動子の向き(ダウン・前方・パースペクティブモード)についても、自動で感知できなくなります。
振動子の向きを前方(フォワードモード)で設置しているのに、勝手に映像がダウンモードに切り替わったり、元にもどったりするようになります。
切り替わるときにピーピー鳴って、これまた煩わしいです。

壊れ方が軽度なうちは、ライブスコープの使用開始後しばらくは正常に映像が表示されます。
そして、使い始めて1時間くらい経過すると、突然画面内のボトムが極端に斜めになって水中の状況が確認できなくなります。
故障が悪化するにつれて、症状が現れるまでの時間が短くなり、最終的には使用開始直後から症状が現れるようになります。

ジャイロセンサーが壊れたら

現場での対処方法は、画面表示をオートからマニュアルに切り替えることです。
自動安定化」をオフにすることで、ジャイロセンサーを使用して映像を安定化させる機能が解除されます。
(ソフトウェアのバージョンが古い場合は「AHRS使用」をオフにします。)
オフにすると、ボートが揺れるとそれに合わせて画面内のボトムが揺れるようになりますが、それ以外はきちんと表示されるようになります。
画面の中でボトムが揺れるのは結構なストレスで、壊れて初めてジャイロセンサーのありがたみが身に染みました。
ボトムの傾斜が実際の状況と一致しないときは「ピッチ角度」で細かく調整できます。

自動安定化オフ

同時に、「方向」についても自動ではなく、振動子の向きにあわせて選択します。

方向(前方)

「自動安定化」をオフにした場合、ローテーターのシャフトが曲がっていると、ローテーターを左右に回転させるとボトムの表示が傾くようになります。
これは、曲がったシャフトの先端に付いている振動子は、シャフトを回転させることで微妙に角度が変わるからです。
シャフトが曲がるのはローテーターあるあるですが、この細かな角度変化も「自動安定化」機能が補正してくれていたようです。

保証と修理

壊れた振動子を直して、「自動安定化」を再び機能させるには修理(交換)するしかありません。

正規代理店㈱G-FISHING

ここからはガーミンの魚探が、正規代理店㈱G-FISHINGによる輸入品であることを前提とした話になります。
他の代理店による輸入や並行輸入品の場合は事情が異なります。

ライブスコープ振動子の保証期間は、購入後2年間です。
この期間における物理破損以外の故障については無償で修理保証してもらえます。
ガーミンの魚探を購入する際は、事前に㈱G-FISHINGが取り扱っている製品であることを、販売店に確認することをお勧めします。

ソフトウェアの更新

修理を依頼する前に、魚探のソフトウェアを最新のバージョンに更新します。
ガーミンのアプリケーション「Garmin Express」または、ガーミンのホームページから最新のソフトウェアをダウンロードして、魚探とブラックボックスと振動子のソフトウェアを更新します。

ジャイロセンサーの故障がソフトウェアで修正可能とは全く思いませんが、ソフトウェアが最新でないと㈱G-FISHINGに修理を受け付けてもらえません。

販売店に修理を依頼する

ライブスコープ振動子を購入した店へ連絡して修理を依頼します。
故障の状況を把握してもらうために、可能であれば実際の魚探画面をみてもらうのが最も確実です。
私の場合、販売店へ電話とLINEで説明したところ、当初は故障の内容が誤って伝わりなかなか修理交渉が進展しませんでした。

その後は、販売店を通じて写真や動画を代理店に送付することになります。
販売店との写真と動画データのやり取りはLINEで行いました。

必要な写真と動画

販売店と代理店のやり取りの中で、何度も追加で写真の提出を求められました。
また、代理店がソフトウェア更新による魚探の仕様変更を把握しておらず、提出した写真が要求した写真とは違うとの誤った指摘を受けるなど、余計な時間をずいぶんと取られました。

最終的に販売店へ提出することになった写真と動画は以下の通りです。
これらのデータを最初から提供すれば、修理交渉が速やかに進むと思います。

写真

  • 振動子(LVS34)のシリアルナンバー ※1
  • GLS10(ブラックボックス)のシリアルナンバー ※2
  • 振動子(正面、左右、発信面)※3
  • ソフトウェアバージョンの表示画面
  • イベントログの表示画面
  • コンパス校正の完了画面
  • 電圧が確認できる画面 ※4
  • 「自動安定化」のオンが確認できる画面 ※5

写真の補足

※1)振動子のシリアルナンバーは、振動子ケーブルに付いているタグ(ブラックボックスと接続する端子の近く)に記載されています。

※2)ブラックボックスのシリアルナンバーは、振動子ケーブル端子の右横に記載されています。ブラックボックスも㈱G-FISHING取扱いの正規品でないと、振動子の保証が受けられないと思われます。

※3)振動子が物理的に破損していないことを確認するための写真です。写真が不鮮明な場合は撮り直しになります。発信面は背景が明るいと黒抜けになりやすいので、ホワイトバランスを調整するなど撮影時に工夫しましょう。3面ある発信面が全て写るように、発信面の写真は角度を変えて2枚撮影しました。

※4)次の「自動安定化」オンが確認できる写真に魚探の電圧が表示されています。

※5)これは当初、「AHRS」のオンが確認できる画面との要求でした。しかし最新のソフトウェアバージョンでは「AHRS」を「自動安定化」と表示するように変更されています。「自動安定化」のオンが分かる写真を提供したところ、「自動安定化」ではなくて「AHRS」の写真が必要だと代理店が言ってきたため、ソフトウェアのバージョンアップで表示が変更されていることを説明してようやく理解してもらえました。なお「自動安定化」がオンの状態は、故障の動画を見れば分かります。代理店がきちんと状況を把握していれば、そもそもこの写真の提出は不要ではないでしょうか。

動画

故障が分かる動画ということで、「自動安定化のオンとオフを切り替える動画を撮影します。
フラットエリアで動画を撮影すると、オンにするとボトムがめっちゃ斜めに表示され、オフにするとほぼ水平に表示されます。

自動安定化の故障

代理店へのデータ転送

写真と動画のデータを販売店へ提供したら、販売店には速やかに代理店へ転送するようにお願いしましょう。
代理店への転送が遅れ、その間にソフトウェアのバージョンアップがあると、改めてソフトウェアの更新を求められることになります。

新品への交換

代理店の対応はお世辞にもほめられたものではありませんでした。
ソフトウェアバージョンアップによる魚探の仕様変更を把握しておらず、ユーザーのミスであるかの指摘があったり。
提供すべき写真を何度も追加で要求してきたり。
とにかく修理対応に時間が掛かりました。

しかし、最終的には保証による対応が認められ、新品の振動子との交換で決着がつきました。
結果だけ見れば満足です。

壊れる前提で運用

ライブスコープ振動子が壊れるのは高性能ゆえの宿命でしょうか。
私の場合、LVS32に続いてLVS34も壊れました。
いずれもジャイロセンサー絡みの故障と考えられます。
もはや壊れる前提で運用するしかありません。

ただ、振動子は消耗品と諦めるにはちょっと値段が張ります。
まずは、2年間の修理保証がある正規代理店㈱G-FISHINGの製品を購入することです。
そして2年未満で故障した場合は、保証による対応をしてもらいましょう。

「自動安定化」が機能しなくなる故障であれば、修理依頼等はこの記事を参考にしてください。
代理店からの要求の有無にかかわらず、最初から必用と思われるデータを販売店を通じて送付すれば、修理に掛かる時間も短縮できると思います。

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