今回は、雨の日にバス釣りをするときの服装、装備についてです。
雨を甘く見てはいけません。
私も雨で何度も痛い目にあっています。
いろいろと工夫を重ねた結果、私が辿り着いた雨対策についてお話します。
問題点
雨で問題となるのは、当たり前ですが体が濡れることです。
体が濡れると不快なだけでなく、体温が奪われて寒くなります。
気温が低い季節はもちろん夏の暑い時期でも、長時間体が濡れていると、想像以上に体が冷えます。
濡れた状態が1時間も続くと、寒さで釣りどころではなくなってきます。
そのため、体を濡らさないことが、雨対策の最重要事項です。
濡れる原因
雨の日に体が濡れる原因は、主に2つです。
- 外側から濡れる
降ってくる雨によって外側から濡れます。
防水性のあるレインウェアを着ても、全身をすっぽり覆う訳ではないため、どうしてもウェアの隙間などから雨が浸入してきます。 - 内側から濡れる
寒くても人は汗をかきます。
防水性のあるレインウェアを着ていると、汗が蒸発せずに服の内側で結露して水分となり、体が濡れます。
外側対策
雨そのものから濡れるのを防ぐ対策です。
もちろん、防水性のあるレインウェアを着るのですが、それだけでは足りません。
激しい雨だと、首回りの隙間から雨が浸みてきます。
首まわりからの浸水を防ぐために、レインウェアのファスナーはしっかり上まで締めましょう。
手首からも雨は浸みてきます。
レインウェアに、ベルクロなどで手首を締める機能があっても、どうしても水が入ってきます。
これは、手首が肘よりも下にあれば問題はありません。
しかし、手首を肘より上げる動作が多いのがバス釣りです。
キャストするときはもちろん、ルアーを操作するときも、たいてい手首の位置は肘よりも上にあります。
濡れた手から重力で下がってきた雨が、手首の隙間からレインウェアの中に浸水します。
少しずつ、じわじわと浸みてきます。
初めはたいしたことはないと思っていても、気が付く頃には、内側に着ている服の袖がびっちょり濡れています。
手首からの雨の浸入を防ぐために、レインカフスを装着します。
防水性のリストバンドと思ってください。
内側対策
汗がレインウェアの内側で結露することで濡れる、これを防ぐ対策です。
防水性と通気性、これは相反する性質であり、レインウェアの内側で汗が結露するのは避けて通れない問題です。
防水透湿素材
この問題を解決してくれるのが、防水透湿機能のある素材です。
代表的なものがゴアテックスです。
ゴアテックスはフイルム状素材で、水(液体)は通さず水蒸気(気体)を通す大きさの微細な穴が多数開いています。
ゴアテックスをレインウェアの生地に挟み込むことで、雨を通さずに(防水)、汗を発散させる(透湿)ことが可能となりました。
ただし、この透湿機能を有効に働かせるためには、さらに撥水という機能が必要となります。
撥水機能
撥水機能とは、水をはじく機能です。
雨が降ったとき、雨が水玉となってコロコロと生地表面を転がるアレです。
撥水機能によって、生地表面に水が付着しない、生地表面が濡れないことで、ゴアテックスに開いている微細な穴から、汗が蒸発します。
しかし、長時間雨にさらされると、次第に撥水機能は低下して、ウェア表面はしっとりと雨で濡れてきます。
ゴアテックスに開いている穴は水より小さいので、生地の内側に雨が浸みてくることはありません。
ところが、生地表面が水で覆われることでゴアテックスの微細な穴が塞がれ、透湿機能は失われ、汗が蒸発できなくなるのです。
蒸発できなくなった汗は、服の内側で結露します。
結露
たかが結露、されど結露。
汗の結露など、たいしたことはないと思っていませんか。
人の体は、普段汗として見える以上に、体表面から水蒸気としての汗を放出しています。
日常生活においては、すぐに服を通して水蒸気が大気中に発散されるため、汗として自覚することはありません。
一方、撥水機能が低下したレインウェアの内側で汗が結露すると、びっくりするくらい、内側に着ている服がビチョビチョになります。
当初、ウェアの隙間から雨が浸みたのかと思いましたが、どうやらそうではありませんでした。
汗の結露をなめると泣くはめになります。
結露で濡れた服は体温を奪い、寒さで震えることになるのです。
根性で釣りを続けるか、泣きながら戻ってくるかどちらかです。
二枚重ね
汗による結露を防ぐための対策が、防水透湿素材のウェア二枚重ねです。
防水透湿素材のウェアを二枚重ねにするとどうなるのでしょうか。
外側のウェア(A)、こちらは雨で撥水機能が低下して、そのうちに透湿機能が効かなくなります。
しかし、内側のウェア(B)、こちらは雨に濡れず、透湿機能が維持されます。
よって、水蒸気の汗はBの外側に蒸発し、Aの内側に結露します。
結露した汗は、Bの防水機能によって、その内側まで戻ってくることはありません。
レインウェア
ここからは、具体的なウェア選びについて説明します。
防水透湿性の素材を使用したレインウェアを上下揃えてください。
お薦めの素材はゴアテックスです。
何十年も前に開発された素材ですが、防水性能、透湿性能ともに高く、この手の素材としては最も優秀なのではないでしょうか。
ビニール合羽などはもっての他です。
1時間程度しか釣りをしないなら耐えられるかもしれませんが、半日、一日と釣りをしたいなら、レインウェアをケチってはいけません。
小雨であれば、普段の服装の上にレインウェアを着るだけで十分です。
ただし、本降りの雨になるとウェア表面が水で濡れ、透湿機能が働かずにウェア内で汗が結露します。
結露で全身ずぶ濡れとなるので、さらに外側に着るウェアが必要です。
ハードシェル
ハードシェルとは、登山などの時に最も外側に着る、防風・防水機能を備えたウェアのことです。
二枚重ねの外側に着るウェアとなります。
ハードシェルを上下揃えましょう。
レインウェアの外側にさらにハードシェルを着ます。
ハードシェルの素材も防水透湿であることが必要なので、ゴアテックスがお薦めです。
なお、写真のジャケットはゴアテックスではありません。
ストレッチ素材ということに惹かれて購入しましたが、そもそも体にフィットするようなウェアではないので、ストレッチである必要はなかったと思っています。
次購入するときは、ゴアテックス製のものを買おうと考えています。
ハードシェルは、レイヤリング(重ね着)システムといって、内側に着るものを調整することで様々な状況に対応できるように作られています。
冬季登山の際は、内側に保温のためのダウンジャケット等を着られるよう、余裕をもったサイズとなっています。
同じレインウェアを二重に着てもいいのですが、同じ規格の服を2枚着るのは無理があります。
しかし、元々外側に羽織ることを前提としたハードシェルであれば、レインウェアの上から着るのに適しています。
ちなみに、このハードシェルは、真冬の釣りの防寒対策にも必須なアイテムです。
レインカフス
レインウェアの袖口からの浸水を防ぐためのツールです。
防水性のリストバンドで、クロロプレンゴムなどで作られています。
隙間ができないように、少しきつめになっていて、はめるときや取るときはちょっと大変です。
これを使用することで、かなりの浸水を防ぐことができます。
しかし、それでも完全ではなく、僅かな隙間から水が浸みてきます。
レインウェアを二重に着ることは、この袖口からの浸水を防ぐ効果もあります。
レインカフスの隙間からの浸水を、内側のレインウェアが更にブロックしてくれます。
帽子
つばのある帽子を被ることで、雨が直接顔にかかるのを防ぎます。
気分の問題だけではありません。
偏光グラスに水滴がつくと、視界が遮られます。
帽子の素材はあまり気にする必要はありませんが、雨を吸わない素材の方が快適です。
靴
ゴアテックス素材などで防水をうたった靴は数多くありますが、長時間の雨では縫い目やら繋ぎ目などからほぼ間違いなく水が浸みます。
透湿には目をつむり、完全防水を望むならゴム長靴一択です。
ただし、ゴム長靴の中には、濡れた地面で恐ろしく滑るものがあります。
購入する際にはソールの素材や構造などにも気をつけてください。
私は、日新ゴムの「ハイパーV」というソールを使用した長靴を使っています。
このソールは、油で濡れた斜面でも滑らないという、驚異的なグリップ力があります。
ただし、純粋に業務用として作られているため、オシャレではありません。
色も白く、食品工場で働いている人になれます。
足元が濡れてもいい夏場なら、はだしにサンダルもありです。
ドライレイヤー
汗冷え対策に特化した、直接肌に触れる一番内側に着るウェアです。
吸水速乾素材のベースレイヤーと組み合わせることで、汗を蒸発させる吸水速乾性能を高めて、結露した汗による汗冷えを防ぐ機能があります。
メッシュ地で、非常に高い撥水性能を備えています。
結露した汗が肌に触れないようにすることで、冷えを防いで、快適さを保ちます。
上半身は長袖、下半身はタイツを着用します。
ゴーグル
これはバスボート走行時に必要なアイテムです。
フルフェイスのヘルメットやフェイスシールドなどでもいいのですが、私はゴーグルを使用しています。
偏光グラスの上から着用するため、オーバーグラス用で、レンズはクリアーです。
デフォルトのレンズでは曇るので、曇り止めのレンズに交換しました。
トータルコーディネート
雨の日の服装の基本は以下のようになります。
肌に近い方から順に、
- 上半身
ドライレイヤー(長袖)、吸水速乾ウェア(長袖)、レインウェア、ハードシェル - 下半身
パンツ、ドライレイヤー(タイツ)、吸水速乾タイツ、短パン、レインウェア、ハードシェル - 頭 キャップ
- 手首 レインカフス
- 足 長靴
- 顔 ゴーグル(バスボート走行時)
気温が下がれば、上半身は吸水速乾ウェアの上にフリースなどの防寒着を、下半身は吸水速乾タイツと短パンの代わりにGパンなどを着ます。
注意点
袖口からの水浸みを極力防ぐために、吸水速乾ウェアの袖を少し折り返し、袖が水を吸って浸水が拡大しないようにします。
レインウェアとハードシェルの二枚重ねをすると、夏場で小雨のときはさすがに暑くなります。
ハードシェルは小雨のうちは着用せず、雨脚が強くなってから追加で着るようにします。
手入れ
ゴアテックスウェアの手入れについて。
汚れが付着すると、透湿機能や撥水機能が低下します。
レインウェアやハードシェルは、なるべく使用したらその都度洗うようにしましょう。
ウェアの洗濯表示を守って洗えば、洗濯によるウェアの劣化はほとんど気にする必要ありません。
撥水機能が低下してきたら、市販の撥水剤を使用することで、撥水機能を復活させることができます。
また、ウェアを乾燥させるときに乾燥機を使うと、撥水機能を高めることができます。
その他
濡れによる冷え対策、数多くの失敗を重ねてようやく納得のいく方法へたどり着きました。
当初は、レインウェアの内側に着るもので解決しようとしましたが、状況変化へ素早く対応できず苦労しました。
ヒートテックなどの水分で発熱する素材を着ることで、濡れ冷えを防ごうとすると、雨予報が外れた場合、暑くて参ってしまいます。
また、雨の中で、レインウェアの内側の服を濡れずに脱ぎ着して調整することは不可能でした。
雨対策、これで完璧だともいえません。
よりよい方法が見つかりましたら、随時内容を更新したいと思います。
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